離職率を下げたいなら、福利厚生や条件だけでは足りない|スタッフが定着する「人事」の仕組み

「スタッフの離職率を下げたい」

そう考えたとき、まず思い浮かぶのは「給与を上げる」「休日を増やす」「福利厚生を充実させる」といった待遇面の改善ではないでしょうか。
もちろん、給与や休日、福利厚生は、スタッフが働き続ける上で重要な要素です。
しかし、それだけで離職率が下がるとは限りません。

実際には、待遇に大きな不満があるわけではないにもかかわらず、
「ここにいても成長できない」
「頑張っても評価されない」
「この先のキャリアが見えない」
「院長や上司に相談しづらい」
「自分が何を期待されているのかわからない」
といった理由で、スタッフが退職を決めるケースもあります。

つまり、離職率を下げるためには「辞める理由をなくす」だけではなく、「ここで働き続けたい」と思える環境をつくることが重要です。
そのために必要なのが、採用・育成・評価・面談・キャリア形成などを一つの流れとして考える「人事」の仕組みです。

本記事では、福利厚生や待遇改善だけでは解決しにくい離職の問題について、スタッフが定着しやすいクリニックに共通する人事の仕組みを解説します。

目次

1. 「給与を上げれば辞めない」とは限らない
2. スタッフが定着するクリニックには「人事の流れ」がある
3. 「離職率対策」ではなく、スタッフが定着する組織をつくる

「給与を上げれば辞めない」とは限らない

離職率を下げるために、まず待遇を改善する。
これは決して間違った考えではありません。
給与や休日、福利厚生などの労働条件は、スタッフが職場を選ぶ上で重要な要素です。

しかし、待遇を改善したからといって、それだけでスタッフが長く働き続けるとは限りません。

例えば、給与が上がったとしても、
「自分が何を頑張れば評価されるのかわからない」
「仕事を覚えても次のステップがない」
「院長に相談したいけれど、話す機会がない」
「後輩が入ってきても教育を任されるだけ」
「自分の仕事がクリニックにどう役立っているのかわからない」
という状態であれば、別の職場を探すスタッフが出てくる可能性があります。

逆に、給与や休日だけを理由に転職するのではなく、
「このクリニックで成長できている」
「自分の頑張りを見てもらえている」
「次に目指したいポジションがある」
「困ったときに相談できる人がいる」
「自分もクリニックの一員として役に立てている」
という実感が持てる職場であれば、多少の大変さがあっても「ここで頑張りたい」と思えることがあります。

もちろん、労働条件を整えることは大前提です。
その上で考えたいのが、スタッフが入社してから定着するまでの「人事の仕組み」です。
離職率を下げるために必要なのは、「辞めないようにすること」ではありません。
スタッフが「ここで働き続ける理由」をつくることなのです。

スタッフが定着するクリニックには「人事の流れ」がある

スタッフの定着は、何か一つの施策だけでつくられるものではありません。
採用して、入社して、仕事を覚えて、成長して、評価されて、次のキャリアを考える。
この一連の流れがつながっていることが重要です。

採用|入社前の期待値を合わせる
まずは採用です。
人手不足だからとにかく採用する、という考え方では、入社後のミスマッチにつながります。
クリニックが求める人物像や仕事の内容、働き方などを採用段階で明確に伝え、「入社前に聞いていた話と違う」というギャップを減らすことが大切です。

オンボーディング・新人教育|「入ってから」が定着を左右する
採用したら終わりではありません。
入社後に「誰が教えるのか」「何をいつまでに覚えるのか」「困ったときに誰に相談するのか」が明確になっているかどうかも、定着に大きく関わります。
特に入社直後は、「自分はここでやっていけるのだろうか」という不安を抱えやすい時期です。
新人を現場に置いて「わからなければ聞いてね」とするのではなく、30日・60日・90日などの育成目標を設定し、成長をサポートする仕組みが必要です。

評価|「頑張っている」が見える状態をつくる
スタッフが「頑張っているのに評価されない」と感じることも、離職につながる大きな要因です。
評価基準が曖昧なままだと、「何を頑張れば評価されるのか」「自分の仕事はどこを見てもらえているのか」がわからなくなります。
だからこそ、評価制度によって「期待されている行動」や「評価されるポイント」を見える化することが重要です。

評価は、給与を決めるためだけのものではありません。

「自分はこれができるようになった」
「ここを評価してもらえた」
「次はここを伸ばせばいい」
と、自分の成長を確認する機会にもなります。

1on1・面談|スタッフの状態を知る
制度だけでは、スタッフの本音までは見えてきません。

「最近、仕事で困っていることはないか」
「何にやりがいを感じているか」
「職場で気になっていることはないか」
「これからどんな仕事をしてみたいか」

こうしたことを定期的に確認する場が必要です。
1on1や面談は、業務報告をするためだけの時間ではありません。
スタッフの状態を知り、本人の考えを理解し、必要なサポートにつなげるための重要な人事機能です。

キャリアパス|「この先」を描けるようにする
「この仕事を続けて、私はこの先どうなるんだろう?」

この疑問に答えられないクリニックでは、成長意欲の高いスタッフほど外に目を向けることがあります。
一般スタッフからリーダー、マネージャーへ進む道。
あるいは、教育担当、専門領域の担当者など、それぞれの強みを活かせる道。
すべてのスタッフが管理職を目指す必要はありません。
大切なのは、「ここで働き続けたら、こんな成長の仕方ができる」という未来が見えることです。

「離職率対策」ではなく、スタッフが定着する組織をつくる

ここまで紹介した採用、教育、評価、1on1、キャリアパスは、それぞれ別々の施策ではありません。
すべて「人が入社してから、成長し、活躍し、長く働く」という一つの流れの中にあります。

例えば、

採用
 ↓
入社後の期待値を合わせる

オンボーディング・新人教育
 ↓
安心して仕事を覚え、早期に成長する

評価
 ↓
頑張りや成長を可視化する

1on1・面談
 ↓
本人の悩みや希望を把握する

キャリアパス・リーダー育成
 ↓
次の目標や役割をつくる

この流れがつながっていれば、スタッフは「自分がこのクリニックでどう成長していくのか」をイメージしやすくなります。

そして、もう一つ重要なのが、院長やマネージャーとの関係性です。

どれだけ制度を整えても、スタッフが「院長には何も言えない」「相談しても聞いてもらえない」と感じていれば、人事は十分に機能しません。
制度によって公平性や仕組みをつくり、対話によってスタッフ一人ひとりの状態を理解する。
この両方があってこそ、スタッフが安心して働き続けられる組織になります。
離職率を下げるために必要なのは、「辞めそうな人を引き止めること」だけではありません。

そもそも、スタッフが辞めたいと思いにくい組織をつくること。

そのためには、福利厚生や待遇だけではなく、採用から育成、評価、対話、キャリア形成までを一つの人事機能として捉える必要があります。

まとめ|スタッフが定着するクリニックは「人事」がつながっている

離職率を下げたいと考えたとき、給与や休日、福利厚生を見直すことはもちろん重要です。
しかし、それだけではスタッフの定着を十分に支えることはできません。

「入社してよかった」
「自分は成長できている」
「頑張りを見てもらえている」
「困ったときに相談できる」
「この先のキャリアが見える」
「自分の仕事がクリニックの役に立っている」

こうした実感を持てることも、スタッフが働き続ける上で重要な要素です。
そのためには、採用・オンボーディング・新人教育・人事評価・1on1・キャリアパス・リーダー育成などを、それぞれ単独の施策として考えるのではなく、一つの「人事機能」としてつなげていく必要があります。

離職率は「福利厚生の充実度」だけで決まるものではありません。

スタッフが入社してから成長し、評価され、対話を重ねながら、自分のキャリアを描いて働ける仕組みがあるかどうか。
そこまで含めて考えることが、これからのクリニックの人事には求められています。

Liberate Beautyでは、美容クリニックの現場経験をもとに、採用だけではなく、入社後の新人教育、人事評価、1on1、キャリアパス、リーダー育成など、スタッフが長く働ける組織づくりを一貫して支援しています。

「採用しても、また辞めてしまう」
「離職率を下げたいけれど、何から見直せばいいかわからない」
「人事制度を整えたいが、院内だけでは手が回らない」

そんな場合は、まず現在の人事の仕組みを整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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