その質問で、本当に人柄はわかりますか?|面接で「過去の行動」を聞く理由

「あなたの長所を教えてください」
面接では、よく聞かれる質問の一つです。
「責任感が強いところです」
「協調性があるところです」
「何事にも前向きに取り組めるところです」
候補者から、こんな答えが返ってくることもあるでしょう。
もちろん、こうした回答から本人の考え方や自己認識を知ることはできます。
でも、少し考えてみたいのが、
「その答えだけで、本当にその人の人柄や仕事ぶりが分かるでしょうか?」
ということ。
例えば、「私は主体性があります」と言う人が、本当に仕事で主体的に行動する人なのか。
面接の短い時間だけでは、なかなか分かりません。
そこで役立つのが、「過去の行動」を聞く質問です。
「これまでの仕事で、自分から改善したことを教えてください」
この質問なら、その人が「主体性があります」と自己評価しているかどうかではなく、
「何を課題だと感じたのか」
「なぜ改善しようと思ったのか」
「実際にどんな行動をしたのか」
といった、具体的な経験を聞くことができます。
今回は、美容クリニックの採用・面接で、抽象的な回答だけに頼らず、候補者の仕事への向き合い方を知るために「過去の行動」を聞く理由について考えてみます。
目次
1. 「あなたの長所は?」だけでは、人柄が分かりにくい理由
2. 「過去の行動」を聞くと、仕事の仕方が見えてくる
3. 「聞いて終わり」にしない。具体的なエピソードを掘り下げる
「あなたの長所は?」だけでは、人柄が分かりにくい理由

面接では、候補者に自分自身について話してもらう質問をすることがあります。
「あなたの長所は何ですか?」
「仕事で大切にしていることは何ですか?」
「どんな人と働きたいですか?」
どれも、候補者の価値観や考え方を知るうえでは役立つ質問です。
ただし、こうした質問への回答は、あくまでも本人による自己評価や自己説明です。
例えば、
「私は責任感があります」
と答えたとします。
もちろん、その人が自分のことを「責任感がある」と認識していることは分かります。
でも、
「実際に責任感を持って仕事をした経験はあるのか?」
までは、この一言だけでは分かりません。
「協調性があります」
という回答も同じです。
本人がそう思っていることと、実際の職場で周囲とどのように関わってきたかは、別の話です。
面接では「言葉」と「行動」を分けて考える
採用面接では、候補者が話す言葉を聞くことももちろん大切です。
ただ、それだけで判断してしまうと、
「受け答えが上手な人」
「自己PRが上手な人」
「面接に慣れている人」
が、実際の仕事ぶり以上に良く見えてしまうことがあります。
そこで、
「あなたはどんな人ですか?」
と聞くのではなく、
「これまで実際にどんなことをしましたか?」
と聞いてみる。
例えば、
「主体性がある」
という自己PRがあったとします。
そこで、
「これまでの仕事で、自分から改善したことを教えてください」
と聞いてみる。
すると、その人が実際に、
・ どんなことを課題だと感じたのか
・ なぜ改善しようと思ったのか
・ 自分でどんな方法を考えたのか
・ 実際に何をしたのか
・ 周囲とどう関わったのか
といったことを知ることができます。
ここまで聞くと、単なる自己PRではなく、その人の仕事の進め方が見えてきます。
「過去の行動」を聞くと、仕事の仕方が見えてくる

では、実際にどんな質問をすればいいのでしょうか。
ポイントは、候補者が過去に経験した具体的な場面や行動について聞くことです。
「自分から改善したこと」を聞く
例えば、
「これまでの仕事で、自分から改善したことを教えてください」
という質問。
この一つの質問からでも、さまざまなことを確認できます。
例えば、候補者が、
「患者様への案内方法が分かりにくいと感じたので、自分で案内の仕方を見直しました」
という経験を話したとします。
ここから、
「なぜ、それを改善しようと思ったのですか?」
と聞いてみる。
すると、
「患者様から同じ質問を受けることが多かったから」
という答えが返ってくるかもしれません。
さらに、
「具体的には、どんなことを変えたんですか?」
と聞けば、
「案内する順番を変えました」
「説明用の資料を作りました」
など、実際の行動が見えてきます。
このエピソードからは、
課題に気づく力、主体性、行動力、課題解決力
などを確認することができます。
もちろん、一つのエピソードだけでその人の能力を決めつける必要はありません。
大切なのは、「主体性があります」という言葉だけでは分からなかった部分を、具体的な経験から確認することです。
「大変だった経験」から、問題への向き合い方を見る
次に、
「これまでの仕事で、大変だったことや困ったことを教えてください」
という質問。
これも、単に「何が大変だったのか」を聞いて終わりにするのではなく、
「そのとき、どう対応しましたか?」
まで聞いてみます。
例えば、
「忙しい時期に業務が重なって大変でした」
という回答だった場合。
「そのとき、ご自身ではどのように対応しましたか?」
と聞いてみる。
すると、
「優先順位をつけました」
「上司に相談しました」
「周囲に協力をお願いしました」
「自分なりに業務の進め方を変えました」
など、さまざまな行動が出てきます。
ここで見えてくるのは、単に「忙しかった」という事実ではありません。
困った状況になったとき、その人がどのように考えて行動するのか。
ということです。
一人で抱え込むタイプなのか。
周囲に相談できるタイプなのか。
まず自分で工夫してみるタイプなのか。
状況によって対応を変えられるタイプなのか。
もちろん、これも「どれが正解」という話ではありません。
自院の環境やポジションに合った働き方ができそうかを考えるための材料として見ることが大切です。
「周囲と意見が合わなかった経験」を聞く
美容クリニックでは、受付、看護師、カウンセラー、医師など、異なる職種が一緒に働いています。
だからこそ、
「職場で、自分と違う意見の人と仕事をした経験を教えてください」
という質問も、その人の仕事への向き合い方を知るきっかけになります。
例えば、
「そのとき、どのように対応しましたか?」
「相手とは、どんな話をしましたか?」
「最終的にどうなりましたか?」
と聞いていきます。
ここでは、
・ 相手の意見を聞けるか
・ 自分の考えを伝えられるか
・ 意見が違うときに調整できるか
・ 周囲と協力して仕事を進められるか
といった部分を見ることができます。
美容クリニックでは、すべての職種が同じ考え方をする必要はありません。
むしろ、立場が違えば意見が違うのは自然なこと。
だからこそ、「意見が合わなかったことがあるか」ではなく、意見が違ったときにどう行動したのかを聞くことに意味があります。
「思うようにいかなかった経験」から振り返る力を見る
もう一つ、聞きやすいのが、
「これまでの仕事で、思うようにいかなかった経験を教えてください」
という質問です。
「失敗した経験」と聞くよりも、少し答えやすいかもしれません。
そして、
「そのとき、どう対応しましたか?」
「今振り返ると、どう思いますか?」
と続けます。
ここで大切なのは、「失敗したことがあるか」ではありません。
誰でも仕事をしていれば、思うようにいかないことはあります。
見るべきなのは、
その経験をどう受け止め、その後の行動にどうつなげたのか。
という部分です。
「聞いて終わり」にしない。具体的なエピソードを掘り下げる

「過去の行動」を聞く面接で、もう一つ重要なのが、回答を聞いて終わりにしないことです。
例えば、
「以前、業務改善をしました」
という回答があったとします。
そこで、
「そうなんですね。すごいですね」
と終わってしまうと、せっかくのエピソードから十分な情報を得られません。
ここから、
「具体的には?」
と一歩掘り下げてみます。
例えば、
「どんな課題がありましたか?」
↓
「なぜ、それを改善しようと思ったんですか?」
↓
「具体的に何をしましたか?」
↓
「周囲にはどのように伝えましたか?」
↓
「結果、どうなりましたか?」
↓
「今振り返ると、他にできたことはありますか?」
というように、質問を重ねていきます。
こうして、
事実 → 考えたこと → 行動 → 結果 → 振り返り
まで聞いていくと、その人の仕事の進め方をより具体的にイメージしやすくなります。
「結果」だけでなく「プロセス」を見る
例えば、
「業務を改善して、効率化しました」
という候補者。
結果だけ聞くと、とても優秀なエピソードに聞こえるかもしれません。
でも、
「なぜ改善しようと思ったのか?」
「何が問題だと感じたのか?」
「どんな方法を考えたのか?」
「周囲にはどう伝えたのか?」
「反対意見はありませんでしたか?」
などと聞いてみると、その人が実際にどう動いたのかが見えてきます。
面接で知りたいのは、華々しい成果だけではありません。
「何を達成したか」だけでなく、「どうやってそこにたどり着いたか」
を見ることも大切です。
「すごい経験」がなくてもいい
ここは、採用担当者が意識しておきたいポイントです。
「過去の行動を聞く」と聞くと、
「大きな成果を出した人を探さなければいけない」
と思ってしまうかもしれません。
でも、必ずしもそうではありません。
例えば、受付スタッフが、
「患者様への案内が分かりにくそうだったので、自分で案内方法を見直した」
という経験を話したとします。
大きなプロジェクトではないかもしれません。
それでも、
「患者様の困りごとに気づく」
→「課題として捉える」
→「自分から改善する」
という行動が見えます。
むしろ、日常の仕事の中でどのように考え、どのように動いていたのか。
そこに、その人の仕事に対する姿勢が表れることがあります。
「何か大きなことを成し遂げた人」だけではなく、普段の仕事の中で、自分なりに工夫した経験を聞いてみる。
美容クリニックの採用では、こうした視点も大切です。
面接は「正解を当てる場」ではない
ここまで具体的な質問をご紹介しましたが、面接で候補者の人柄を完全に見抜くことはできません。
どれだけ質問を工夫しても、面接で見えるのは、その人の一部分です。
だからこそ、
「この答えだったから、この人はこういう人だ」
と決めつけるのではなく、複数の質問やエピソードから、その人の仕事への向き合い方を立体的に捉えていくことが大切です。
そして、採用する側も、
「自院では、どんな行動をする人と一緒に働きたいのか」
を明確にしておく。
その基準があるからこそ、面接で聞くべき質問も決まってきます。
まとめ|「私は○○な人です」ではなく、「実際にどう行動したか」を聞く
「あなたの長所は何ですか?」
という質問が悪いわけではありません。
本人の自己認識や価値観を知るためには、もちろん役立ちます。
ただ、それだけでは、その人が実際の仕事でどのように行動するのかまでは分からないことがあります。
だからこそ、面接では、
「これまでにどんな経験をしたのか」
「そのとき何を考えたのか」
「実際にどう行動したのか」
「周囲とどう関わったのか」
「結果をどう捉えているのか」
といった、過去の具体的な行動にも目を向けてみる。
例えば、
「主体性があります」
という言葉だけではなく、
「これまでの仕事で、自分から改善したことを教えてください」
と聞いてみる。
「協調性があります」
という言葉だけではなく、
「意見の違う人と仕事をしたとき、どのように対応しましたか?」
と聞いてみる。
そうすることで、
「この人は自分をどう説明する人なのか」ではなく、「実際の仕事では、どのように考えて、どう動いてきた人なのか」
をイメージしやすくなります。
そして、面接で大切なのは、候補者の「正解」を当てることではありません。
自院が大切にしている価値観や働き方と、その人の経験や行動が合っているのかを、丁寧に確認していくことです。
採用は、入社してから始まるものではありません。
面接の段階から、その人が入社後にどのように働くのかを一緒にイメージする。
その積み重ねが、採用後のミスマッチを減らし、長く働ける人材との出会いにつながっていきます。
株式会社Liberate Beautyでは、美容クリニックの現場を知るからこそ見えてくる採用・人事の課題に対して、採用支援だけでなく、評価制度や教育、組織づくりまで幅広くサポートしています。
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